グルー血管内塞栓術とは
グルー(glue)は英語で接着剤を意味します。文字通りグルー血管内塞栓術とは、下肢静脈瘤の原因になっている伏在静脈に医療用の瞬間接着剤を入れて、血管を閉塞する治療法です。欧米で広く普及しており、日本ではベナシールが保険診療での使用が可能となっています。当クリニックでも、グルー血管内塞栓術を導入し、患者様の下肢静脈瘤の治療法のひとつとして選択していただける環境をご用意しています。グルー血管内塞栓術を希望される方や治療法についての質問等がありましたら、お気軽にご相談ください。
血管内焼灼術と異なる点
グルー血管内塞栓術は、血管内焼灼術のように熱を使用することなく治療を行えます。そのため、血管の周りの神経や組織にダメージを与えることはありません。また、血管内焼灼術と違い、治療後に弾性ストッキングを着用していただく必要がないことや血栓症のリスクが少ないこともと利点として挙られます。血管内焼灼術に劣る点として、接着剤が体内に残ること、接着剤により血管や周囲の組織に炎症やアレルギーが起こる可能性があること等が挙げられます。
接着剤で固めた血管はどうなるのか
時間経過によって、静脈の組織そのものは体内に吸収されます。しかし、グルーと呼ばれる接着剤は、人工物であるため体内に吸収されることはありません。固めた静脈に沿うように、線状に残ってしまいます。治療を行う静脈は、皮下脂肪下にあります。そのため、見た目では接着剤は目立たず、押してみると分かるくらいです。ただし、皮下脂肪が少ない場合には、固めた接着剤が目立ってしまう可能性があります。
このような方に推奨しています
- 弾性ストッキングの着用が難しい方(高齢者など)
血管内塞栓術の流れ
まずは、局所麻酔を行います。次に、超音波装置を使って静脈にカテーテルを入れていき、医療用の瞬間接着剤の注入を行います。注入した部分を皮フの上から圧迫して、カテーテルを抜いていきます。最後に、絆創膏で傷を抑えます。
血管内塞栓術のメリット・デメリット
メリット
- 局所麻酔のみで手術を行えるため、身体への負担を最小限に行うことが可能です。
- 血管内焼灼術に比べて手術に伴う静脈血栓症のリスクが少ないと言われています。
- 血管内焼灼術のように熱によって足の神経を損傷させるリスクがありません。
- 手術後に弾性ストッキングを着用する必要がありません。
デメリット
- 接着剤による静脈炎が起こる可能性がしばしばあり、痛みを伴うことがあります。
- 接着剤によるアレルギーを起こす場合がる。通常は抗アレルギー薬の内服と時間経過で改善することが多いです。
- 接着剤に細菌感染が起こる場合があり、接着剤を外科的に抜去しなければいけなくなる場合があります。
グルー血管内塞栓術ができない場合あるいは慎重を要する場合
手術ができない方
- シアノアクリレート系接着材(まつエク、アロンアルファなど)のアレルギーを持っていらっしゃる方
慎重に検討する必要のある方
- シックハウス症候群にかかったことがある方
- 人工爪の施術者やまつ毛のエクステンション
- 下肢蜂窩織炎を合併している方
- 感染症を発症しやすい方
- 免疫の病気やアレルギーのある方
治療費用
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
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グルー血管内塞栓術 (片足の場合) |
約18,000円 ※上限額適用の場合 |
約18,000円 ※上限額適用の場合 |
約53,000円 |
※上記あくまで標準的な治療を行った場合の自己負担額です。
※短期滞在手術等基本料が含まれています。