下肢静脈瘤について「自然に治りますか?」「自分で治す方法はありますか?」というご質問を患者さまよりいただくことがあります。
インターネットやメディアで下肢静脈瘤が注目される中で、身近な病気になりつつありますが、その反面下肢静脈瘤について誤った理解をしてしまうこともあるでしょう。
下肢静脈瘤自体は良性の病気なので、放置することで命にかかわるような状態になることは基本的にありません。
症状が軽い場合は、ご自宅でのセルフケアで進行を遅らせたり、予防することも可能な場合があります。
しかしながら、一度下肢静脈瘤を発症すると、自然に治ることはなく、症状が強い場合には医療機関での治療が必要になります。
この記事では、下肢静脈瘤の正しい知識や、セルフケア方法について下肢静脈瘤専門医が解説します。
そもそも下肢静脈瘤ってどんな病気?
下肢静脈瘤とは、足の血管が「ボコボコと浮き出る」といった症状をはじめ、足の浮腫(むくみ)や倦怠感、足がつる(こむら返り)、足の湿疹といった様々な症状を伴う病気です。
これらの症状は、足の静脈の「逆流防止弁」が正常に機能せず、血液が逆流してしまうことによる循環障害が原因となります。
下肢静脈瘤は珍しい病気ではなく、軽症なものを含めると国内では10人に1人に下肢静脈瘤の症状が現れるといわれています。
このように身近な病気である下肢静脈瘤ですが、放置していても命にかかわったり、歩けなくなったりすることのない良性の病気です。
︎一度発症すると自然治癒することはない
下肢静脈瘤は命にかかわる病気ではありませんが、特殊な場合を除いては一度発症してしまうと、専門とする医療機関で適切な治療を受けない限り、基本的には治ることはありません。
進行性の病気であるため、適切な対応をしないと、足の倦怠感や足がつる(こむら返り)といった症状によって、日常生活に支障をきたす恐れもあります。
後述するマッサージなどセルフケアも非常に大切ですが、根本的な治療にはなりません。
また、下肢静脈瘤によって治りにくい湿疹や、「潰瘍(かいよう)」といった皮フがえぐれて皮下組織が露出している状態になることがあります。
この場合、皮膚の見た目に症状が現れるため、皮膚科で治療を受ける方もいらっしゃるでしょう。
しかし、原因が下肢静脈瘤であれば、下肢静脈瘤の専門的な治療を受けない限りは再発を繰り返してしまいます。
下肢静脈瘤の症状緩和と予防するためのセルフケア
下肢静脈瘤の原因は足の静脈の「逆流防止弁」が正常に機能しないことで、足の血液が交通渋滞を起こしてしまうことす。
そのため、足の血液の停滞を防ぐことで、下肢静脈瘤の症状の緩和や進行の抑制、発症予防につながります。
下肢静脈瘤のセルフケアには以下のようなものがあります。
- 適度な運動
- 長時間の立位や座位を避ける
- 足をマッサージする
- 弾性ストッキングを着用する
- 食生活の改善
適度な運動
運動で足を動かすことで、ふくらはぎの筋肉のポンプ機能により、足から心臓への血流が良くなり、血液が足に停滞することを防げるため、その結果下肢静脈瘤の予防につながります。
毎日軽い運動やジョギングをすることが理想ですが、運動の習慣がない方は、日常生活の中で足の運動を取り入れましょう。
足を動かす習慣として、例えば以下のような方法があります。
- エレベーターの代わりに階段を使用する
- 駐車場では離れた場所に車を停める
- 電車やバス通勤の際、一駅分を歩く
長時間の立位や座位を避ける
下肢に血液が溜まることが静脈瘤の原因となるため、まずはこの状態を避けることが大切です。
例えば、長時間の連続した立位や座位を避けることが第一です。
立ち仕事やデスクワークで立位や座位がやむ得ない場合は、定期的に足踏みをしたり、歩き回って足の筋肉を動かしましょう。
筋肉を動かすことで、足の筋ポンプ作用が高まり、血流の停滞を防げます。
足をマッサージする
数分間の簡単なマッサージを1日数回行うことで、予防や症状の進行抑制効果が期待できます。
方法としては、足全体を下から上にかけて、手のひらで2〜3分のマッサージを行います。
足の血液を心臓へ送り出すようなイメージで、下から上に両手のひらでさするように押し上げましょう。
しかし、痛みを伴う場合や、症状によっては刺激を与えることがかえって悪化につながる場合もあるため、治療の是非を判断するためにもまずは医療機関を受診することが大切です。
弾性ストッキングを着用する
弾性ストッキングは弾力性のある特殊なストッキングです。
締め付け圧を利用し、足首から上方に向かって徐々に圧力を下げていくことで、静脈の流れを改善し、血液の停滞を防ぎます。
薬局などで購入可能な市販用もありますが、多くは低圧(15mmHg以下)のため、下肢静脈瘤の症状の緩和や進行抑制、予防効果を期待するのであれば、高い圧迫圧のある医療用を使用しましょう。
糖尿病や高血圧、脂質異常症を有する方や喫煙者で歩行時のふくらはぎの痛みや安静にしていても足の色が悪かったり、痛みを伴ったりする場合には、足の動脈に高度の動脈硬化が存在する可能性があります。
このような状態で弾性ストッキングを着用すると、足の動脈の血流に悪影響を与える可能性がありますので循環器内科や血管外科などの医療機関で相談するようにして下さい。
食生活の改善
下肢静脈瘤も他の疾患と同様に、食生活の改善は大切です。
肥満や便秘は、足の血液が心臓の戻るのを妨げるため、下肢静脈瘤の発症や病状の悪化に関連します。適切な食事におけるカロリー制限と運動により肥満を改善し、また、野菜などで食物繊維を多くとることに心がけ便秘を改善し、下肢静脈瘤の予防し、悪化を防ぎましょう。
︎症状が長引く場合などは循環器内科を受診することが重要
下肢静脈瘤自体は決して怖い病気ではありませんが、症状の1つである「浮腫」は、心臓の病気の兆候ともなり得ます。
例えば、足の浮腫だけでなく、動機や息切れなどが続いている場合は「心不全」の疑いもあるでしょう。
これらの症状が続いている場合、全身の状態を内科的な観点でも診察を行える「循環器内科」を受診することで、下肢静脈瘤以外の病気の早期発見につながるケースもあります。
まとめ
下肢静脈瘤は自然に治ることはなく、症状を改善するには医療機関での適切な治療が必要です。
セルフケアで予防や進行抑制も可能ですが、下肢静脈瘤の根本的な治療にはなりません。
また、誤ったセルフケアを続けることで、症状の悪化や治療のタイミングを逃すこともあります。
そのため、下肢静脈瘤の症状が気になる場合は専門の医療機関を受診することが大切です。
当院では、下肢静脈瘤の検査や治療を専門的に行なっております。
循環器内科を専門とする当院院長によって、下肢静脈瘤の症状を血管以外の内科的側面からも診療することが可能です。
治療が必要かどうかは、医師による診察と超音波検査により判断し、患者さまの症状やライフスタイルに合わせて、治療や手術方法を提案させていただきます。
下肢静脈瘤に関する気になる症状のある方は、当院へお気軽にご相談ください。
当院では、「カテーテル治療」および「心臓・血管」の専門医による下肢静脈瘤の日帰り治療を提供しております。足の血管でお悩みの方は、東京都台東区「浅草橋駅」徒歩1分の「あさくさ橋心臓と血管のクリニック」までご相談ください。
当院の下肢静脈瘤が
選ばれる理由
Point
01
下肢静脈瘤の
専門医師による日帰り手術
当クリニック院長は、学会でも末梢血管のライブデモンストレーションを行うなど、下肢静脈瘤治療の基本となるカテーテル治療を得意としておりますので、ご安心してお受けください。
Point
02
痛みが少ない治療
下肢静脈瘤治療では、局所麻酔を効かせた状態で行いますので、術中に痛みを感じることはありません。麻酔を打つ際にチクッとした痛みを感じる程度です。
Point
03
土日も診療・治療実施
当クリニックでは、土日も診察・治療を実施しております。忙しくて平日の受診が難しい方も仕事などへの影響を最低限に抑えて通院いただくことができます。
Point
04
治療は保険適用
下肢静脈瘤の治療では、すべて保険が適用されます。さらに高額療養費制度や限度額認定証を提示することによって費用負担をさらに抑えることも可能です。
Point
05
症状に合わせて
複数の術式から治療法を選択
一言に下肢静脈瘤といっても、下肢静脈瘤には複数の種類があり、下肢静脈瘤の種類に応じて治療法が異なります。当院ではあらゆる治療に対応し、種類に応じて適した治療法のご提案が可能です。
【記事監修】
あさくさ橋心臓と血管のクリニック
院長 高橋 保裕
下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医・指導医(https://www.jevlt.org/ja/)
循環器専門医
心血管カテーテル治療専門医
開院前に勤務していた大学病院や地域中核病院では、1万件近い心臓や末梢血管のカテーテル治療に携わり、様々な症例に対して豊富な治療経験を持ちます。
近年では「ライブデモンストレーションのライブオペレーター」として各学会に招待され、カテーテル治療を学ぶ多くの医師の前で治療を行うなど、技術指導者としても活動しています。
「患者様を自分のたいせつな家族と思って診療する」をモットーに、下肢静脈瘤日帰り手術(カテーテル治療)や一般循環器診療を行っております。