下肢静脈瘤になりやすい人

発症しやすい方

下肢静脈瘤は、何らかの原因によって足の静脈の血流が上手く流れなくなってしまう(交通渋滞を起こす)ことで発症します。 そのため足の静脈の血流が心臓に流れにくい状況が多くなると下肢静脈瘤の発症の機会を増大させます。

立ちっぱなしの仕事

長時間立っている状態によって、重力で足の血液の流れは悪くなります。また、立ちっぱなしで足の筋肉が動かないと筋肉ポンプによる足の血液の流れも期待できなくなります。このようなことが原因で、理・美容師や料理人の方など立ち仕事の多い方では下肢静脈瘤の発症が多いとされています。また、立ち仕事だけでなく、座りっぱなしの状況の多い方でも同じ理由で下肢静脈瘤を発症しやすいとされています。

妊娠・出産経験

妊娠・出産経験がある場合には、2人に1人が静脈瘤を発症すると指摘されています。理由は下記の通りです。

血液量の増加

妊娠中は、母親の血液量が約40〜50%増加することが分かっています。全身の静脈は、膨れて圧力が高まっている状態です。足の静脈は、重力の影響を受けやすいため、血液が滞りやすくなります。

黄体ホルモンによる影響

妊娠をした際には、血管を柔らかくする黄体ホルモンが増えます。血管が圧力に対して弱く拡がりやすくなるため、静脈弁が上手く機能できなくなります。

子宮による圧迫

子宮は、胎児が育つとともに大きくなります。骨盤内で静脈を圧迫するため、足から送られた血液はその部分で流れにくくなります。そして、足の静脈弁や血管に圧力がかかってしまい、静脈弁不全や静脈の拡張の原因になります。

遺伝的要素

下肢静脈瘤の遺伝的要素があるかどうかは、はっきり分かっていません。しかし、両親ともに下肢静脈瘤である場合には、発症する確率は90%といわれています。一方、どちらかの親が下肢静脈瘤である場合には、発症する確率は25〜62%とされています。なお、両親ともに下肢静脈瘤ではない場合には、発症する確率は20%程度とされています。

加齢

加齢に伴って、静脈の壁がだんだん衰えていきます。血液の圧力に弱くなるため、静脈瘤を発症しやすくなります。

肥満

下肢静脈瘤の症状悪化には、肥満が関係していることが分かっています。肥満による腹圧の上昇で足からの静脈の血流が悪くなることと運動不足による足の筋肉ポンプ機能の低下が原因とされています。運動を行うことで足の筋肉ポンプ機能が改善し、脂肪燃焼による肥満による腹圧上昇がなくなるため、運動は一石二鳥の治療になります。

性別

卵黄ホルモンといわれるエストロゲンと黄体ホルモンは、月経との関わりが深く、周期的に分泌量の調整を行っています。これらの女性ホルモンは、静脈壁を柔らかくするため、静脈瘤が生じやすく、静脈弁の機能も働きにくくなるとされています。そのため、下肢静脈瘤は、女性に多く見られるとされています。

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