血管内焼灼術(レーザー・高周波治療)

【記事監修】
あさくさ橋心臓と血管のクリニック
院長 高橋 保裕

院長 高橋 保裕下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医・指導医https://www.jevlt.org/ja/

開院前に勤務していた大学病院や地域中核病院では、1万件近い心臓や末梢血管のカテーテル治療に携わり、様々な症例に対して豊富な治療経験を持ちます。
近年では「ライブデモンストレーションのライブオペレーター」として各学会に招待され、カテーテル治療を学ぶ多くの医師の前で治療を行うなど、技術指導者としても活動しています。
「患者様を自分のたいせつな家族と思って診療する」をモットーに、下肢静脈瘤日帰り手術(カテーテル治療)や一般循環器診療を行っております。

血管内焼灼術とは

血管内焼灼術とは、下肢静脈瘤の原因になっている伏在静脈に、レーザーや高周波を当てることで血管を熱で焼灼し閉塞させる治療です。日本では、レーザー治療が2011年1月に、高周波治療が2014年6月に保険で使用できるようになっております。レーザーはレーザー光線のレーザーであり、高周波は、電子レンジでも利用されています。レーザー(波長1470nm)治療も高周波治療も、方法と治療成績は変わらず、どちらも良い治療法です。当クリニックでは、高周波(ラジオ波)治療に対応しております。お気軽にご相談ください。

光ファイバーを通して、レーザー照射部から血管壁へレーザーが全周性に照射され、血管壁を焼灼します。レーザーの場合、照射部位の範囲が狭いため、カテーテルを引き抜きながら焼灼を行います。

高周波により7㎝のコイルに熱が発生し、カテーテルを血管壁に密着させることで血管壁を焼灼します。焼灼は20秒ずつ行い、位置をずらしながら数回行います。

当院の血管内焼灼術(高周波治療)

高周波治療もレーザー治療同様に血管内焼灼術に分類されます。治療方法はカテーテル挿入部位に局所麻酔を行い、血管内に細いカテーテルを挿入します。熱を加える前にカテーテルが挿入されている伏在静脈の周囲にTLA麻酔という生理食塩水と鎮痛剤、血管収縮薬(出血予防のため)などから成る薬剤を注入していきます。これにより熱を加えた時の痛みと周囲組織の熱傷を予防します。最後に、高周波の熱を使って、静脈を焼灼し閉塞させます。カテーテルの先端を120℃まで加熱します。高周波を用いると短い治療時間で、レーザー治療と同様の効果を期待することができます。

メリット

  • 局所麻酔のみで手術を行えるため、身体への負担を最小限に行うことが可能です
  • グルー血管内塞栓術のように接着剤を使用せず、体内に残る異物がないため、アレルギーや炎症、難治性の細菌感染のリスクは非常に少ないとされています。

デメリット

  • 治療後1ヶ月間は弾性ストッキングを着用する必要があります
  • 頻度は少ないですが、手術後の静脈血栓症(エコノミークラス症候群)のリスクがあります

一般的な高周波血管内焼灼術の方法

血管内焼灼術は、逆流している大伏在静脈を焼灼する治療です。大伏在静脈の一般的な治療の例を説明します。

局所麻酔を膝下と太ももの内側の皮フに4-5カ所ほど、非常に細い注射針(ワクチン接種のときと同様)を使用して行います。

膝下内側の局所麻酔部位から、焼灼カテーテルを大伏在静脈に挿入し、深部静脈の合流付近まで挿入します。挿入したカテーテルと高周波を発するジェネレーターを接続します。

焼灼カテーテルを挿入した血管の周囲に、TLA麻酔という、濃度の薄い局所麻酔液を大量に注入していきます。

TLA麻酔液を注入後は、患者様に痛みを確認しながら、焼灼していきます。1回の焼灼は20秒程度です。焼灼は、通常、足の付け根から膝下まで行います。

大伏在静脈の焼灼された部位には、血液は流れなくなり(逆流はなくなり)、足の血液は深部静脈を通って、心臓に流れて行きます。

傷口に絆創膏(ばんそうこう)を貼り、ガーゼで圧迫し、足全体に包帯を巻いていきます。

包帯で巻いた上から、弾性ストッキングを装着します。手術時の弾性ストッキングの着用は、すべてスタッフが行いますので、ご安心ください。

血管内焼灼術の費用

  1割負担 2割負担 3割負担
高周波血管内焼灼術
(片足の場合)
約15,000円 約18,000円
※上限額適用の場合
約43,000円
※上記あくまで標準的な治療を行った場合の自己負担額です。
※短期滞在手術等基本料が含まれています。

手術の流れ

1初診時

診察、超音波検査

2検査結果・病状・治療法・治療のリスクなど説明

3血液検査、弾性ストッキングの着用指導

4手術前日

とくに制限はありません

5手術当日

  • 20分前に来院
  • 手術(片足の場合30分程度)
  • リカバリー室で15分程度安静
  • 帰宅

6翌日あるいは翌々日

診察+超音波検査

7以後は1週間、1ヶ月、3ヶ月後に診察

※手術内容や経過により変わります

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